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応用事例2:コロナウイルス治療用新規完全ヒト抗体の開発

目的:新型コロナウイルス棘状糖タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)は、ウイルスと宿主細胞のACE2受容体との結合を仲介する重要な部位であり、中和抗体の重要な標的です。 従って、新型コロナウイルスRBDタンパク質を標的とする、広域ウイルス中和モノクローナル抗体医薬品の迅速かつ効率的な開発は、世界中で発生する新型コロナの予防と制御のための重要な方向性となります。

方法:CAMouse®マウスに新型コロナウイルスRBDタンパク質を免疫し、ハイブリドーマ電気融合および半固体培養スクリーニングプラットフォームにより抗新型コロナウイルス特異的完全ヒトモノクローナル抗体を取得しました。候補モノクローナル抗体について、シュードウイルス、生ウイルスおよび抗原エピトープ解析を行い、RBDタンパク質の異なるエピトープを認識するモノクローナル抗体の組み合わせをスクリーニングし、in-vitroおよびin-vivo評価を行い、最終的に治療効果が期待できる抗新型コロナウイルス完全ヒトモノクローナル抗体のカクテル組み合わせ物を取得しました。

結果:生ウイルスに対する中和活性が高く、RBDタンパク質の異なるエピトープを認識する2種類のモノクローナル抗体候補をスクリーニングし、2種類のモノクローナル抗体を組み合わせしました。モノクローナル抗体の組み合わせは、in vitroでは細胞レベルで新型コロナウイルスを効果的に中和できることが確認され、in vivoの防御アッセイでは、カニクイザルの鼻、咽頭、肛門ぬぐい液、肺の感染組織におけるウイルス量を有意に減少させることができました。


*候補モノクローナル抗体ウイルス中和活性(IC50)とKDアッセイ



*カニクイザルの新型コロナウイルス感染:モノクローナル抗体併用による予防効果



参考文献:https://doi.org/10.3389/fimmu.2022.992787